男性がかかりやすい前立腺の病気③(前立腺がん①)の続きになります♪
前回、前立腺がんについて、
どのような症状があらわれるのか、どのような人がなりやすいか等を書きましたが、
今回は検査や治療法について書きたいと思います。
検査
前立腺がんの検査にはいくつか種類があります。
- 問診及び尿検査
- PSA検査(腫瘍マーカー検査)
(Prostate Specific Antigenの略。前立腺特異抗原)
PSAとは、前立腺上皮から分泌されるタンパク分解酵素のこと。
通常は精液や尿の中に混じっており、ドロドロした精液のタンパク質を分解してサラサラにしてくれます。前立腺がん、前立腺炎、前立腺肥大症などの病気があると、PSAが血液中に混じるようになり、血液中のPSA数値が上昇します。
検査方法は採血のみ。前立腺がんを初期に発見する手段としてとても有効なのですが、前立腺がん以外の前立腺に関する病気や加齢などでも血液中のPSA数値は上がってしまうそうなので、診断には他の検査も組み合わせて行われます。
この検査の普及により、前立腺がんの早期発見が増えました。 - 直腸診
前立腺は直腸のすぐ前にあるので、肛門から指を入れると直腸の壁ごしに前立腺の背面に触れることができます。
前回の記事にも書きましたが、前立腺がんは前立腺の外腺に発生することが多いので、直腸の壁ごしに、前立腺の大きさや形、しこりの有無、硬さなどをチェックします。
ただし、前立腺がんが背面でない場所に発生している場合もあるので、他の検査とも組み合わせて診断は行われます。
- 超音波検査
- MRI検査
- 前立腺生検
これまでにあげた検査などからがんが疑われる場合に、確定診断として、
前立腺に針を刺して組織を採取し、
がん細胞の有無、がんであった場合はがん細胞の悪性度や遺伝情報を得ます。
これまでの検査から前立腺がんと診断された場合
- CT検査
- 骨シンチグラフィー
(前立腺がんは骨に転移しやすいため、がんが骨に転移していないかの検査)
といった検査を行い、がんが他に転移していないかなどを確認し治療方針を決めます。
治療方法
がんの進行具合や悪性度、転移の有無、患者さんの年齢・ライフスタイルなどから治療方針が決定されます。
主な治療法としては、
- 監視療法
他に転移しておらず、悪性度や進行の遅いおとなしい早期に発見されたがんなどの場合に、選択される治療法です。
定期的にPSA検査や前立腺生検を行い、がんの様子を見ながら、
おとなしいままの場合は経過観測を続行。
がんの進行が進んできた場合には別の治療法が検討されます。
前立腺がんは、がん以外の原因で亡くなり、解剖されて初めてがんであったことがわかる『潜伏がん』という場合も少なくないよう。
(前立腺がんの場合、50歳以上の男性で約20%、80歳以上の男性で約35~45%潜伏がんが認められるそうです)
高齢の方に多いがんということもあり、手術などによるお身体への負担や生活の質の低下を避けることができます。 - 手術療法
がんが前立腺内にとどまっている場合、前立腺をとる手術(前立腺全摘除術)を行うことでがんを取り除くことができます。
前立腺をとる手術といっても、切除するのは前立腺だけではなく、精嚢・精管の一部・膀胱頚部の一部、場合によってはがんが転移しやすいリンパ節も。男性にとって大事な問題として、
前立腺の両脇には勃起神経が通っているため、手術により神経が損傷すると勃起障害(ED)になります。
男性の性機能を守るために、『神経温存前立腺全摘除術』
(がんの状況を考慮したうえで、勃起神経を両方もしくは片方残す手術方法。
勃起機能が温存される確率は両方温存で約50~80%。片方温存で20~30%なんだそう。)『神経移植術』
(勃起神経のかわりに、くるぶしの外側を通る腓腹神経を移植する方法。
勃起神経が再生するまでに1年~1年半かかり、神経が再生しても性機能が元通りに回復しない場合も)といった手術方法もありますが、がんが残ってしまうというリスクも。
他にも尿失禁などの排尿障害が副作用としてあげられます。 - 放射線療法
前立腺に放射線を照射し、がん細胞を死滅させる方法です。3D-CRT(3次元原体照射法)
IMRT(強度変調放射線療法)
粒子線療法
小線源療法など、前立腺以外の組織への影響や副作用を少なくするための様々な方法が登場しています。
ただ、放射線療法も勃起神経に放射線があたってしまうので、数年後に性機能に影響がでてしまう場合があったり、手術療法と同様の排尿障害があらわれることも。放射線療法とは違いますが、新しい治療法として、
『HIFU(高密度焦点式超音波療法)』があります。
超音波でがん細胞を焼き殺す方法で、他の治療法と比べて体への負担が少なく、短期間の入院ですむことなどがメリットとしてあげられますが、現時点保険適用ではないので、約100万円という高額の治療費がかかります。 - ホルモン療法
前立腺は男性ホルモンに大きな影響を受ける器官。
前回の記事で、前立腺がんのリスクを高める要因として『年齢』をあげましたが、加齢により男性ホルモンが減少し、ホルモンバランスが崩れることががんが発生してしまう原因の一つではないかとも考えられています。前立腺がんは男性ホルモンからの刺激を受けるとがん細胞が増殖するため、ホルモン療法とは男性ホルモンの分泌や作用を抑える治療法となります。方法としては『去勢術(精巣摘除術)』
男性ホルモンは約95%が精巣で作られているため、精巣(睾丸)を手術で摘除することで男性ホルモンの分泌を減少させます。
ただ、男性ホルモンの回復ができないことや同様の効果をもたらす薬もでてきたため、体に負担のかかるこちらの方法は減少しています。『薬物治療』
LH-RHアゴニスト・アンタゴニスト
抗アンドロゲン薬
CAB療法(LH-RHアゴニスト・アンタゴニストと抗アンドロゲン薬の併用)これらは薬を用いて、精巣や副腎で作られる男性ホルモンの分泌や作用を抑える治療法となります。
ただし、ホルモン療法が効く期間は、個人差はありますが2年~10年程の一時的なもの。
根治は出来ません。
次第に、男性ホルモンがなくても増殖するように進化したがん細胞が増え『去勢抵抗性前立腺がん』へと変わっていきます。
なので、ホルモン療法はがんを小さくすることを目的に、他の治療法と併用して行われることが多いようです。ただ、去勢抵抗性前立腺がんに対する薬も幾つか開発されています。
そのお薬に関する記述を読んで驚いたのが、前立腺がんの細胞自体が男性ホルモンを生成すること!
男性ホルモンの分泌や作用を抑える中で、がん細胞は生き延びる手段として自分で男性ホルモンを微量ですが作り出し、それを使って増殖をするそうです。
精巣・副腎だけでなく、がん細胞が作ろうとする男性ホルモンの合成も阻害する薬も開発されています。ホルモン療法の副作用としては、
男性ホルモンの分泌・作用を抑えるため、性機能の低下(性欲の減退や勃起不全、長期的には陰茎の委縮など)
ホットフラッシュ(欧米の研究では、去勢術を受けた患者の58~76%が経験)
体重増加
骨粗しょう症(健常者と比べ5~10倍の骨密度減少がみられるそう)
女性化乳房
貧血
筋力低下
抑うつ
などがあげられます。
以前ブログに書いた男性ホルモン③(男性ホルモンの力)を参考にして頂き、これらが出来づらくなると考えればよいかと思います。
長くなってしまいましたが、前立腺がんの検査や治療方法について簡単に記載しました。
ここには書けませんでしたが(とても長くなってしまいそうだったので汗)、それぞれの方法にここに記載した以外の長所・短所、適応できる条件などがあり、
またここに記載したものは代表的な方法でこれ以外にも様々な治療法があります。
気になる方は医療機関のホームページやドクターに相談してみてくださいね。
参考文献:
『よくわかる最新医学 前立腺がん
JCHO東京新宿メディカルセンター泌尿器科部長 赤倉功一郎』
それぞれの検査方法や治療法についてかなり詳しく、どのように行うか、どのようなメリット・デメリットがあるのか等、イラストや写真入りで書かれていて、とてもわかりやすかったです。
前立腺がんについて知りたい初心者にもオススメだと思いました。
このブログは医療の専門知識を持つものが書いているわけではないので、
気になる方や詳しく知りたい方はドクターからお話しを聴いてくださいね。
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