男性ホルモンと男性更年期

男性がかかりやすい前立腺の病気②(前立腺肥大症)

今回は
男性がかかりやすい前立腺の病気
その中でも『前立腺肥大症』について書きたいと思います。

前立腺肥大症

前立腺とは、
膀胱のすぐ下にあり、尿道と左右の射精管を取り囲むようにある栗の実大の腺のこと。
重さは成人男性で約20gあるといわれています。
その前立腺が、数十~数百g以上も大きくなってしまう病気が『前立腺肥大症』です。

前立腺は大きく分けて、移行領域・中心領域・辺縁領域の3つの部分に分けられますが、
前立腺肥大症は、その中でも移行領域が大きくなってしまう良性の腫瘍で、
多くの場合、尿に関するトラブルが症状としてあらわれます。

前立腺の肥大が始まるのは、30~40歳代から。
50~60歳代で急速に肥大が進行します。
ただ、肥大の進行具合、症状には個人差があり、
人によっては症状がでなかったり、軽微なことも。。

前立腺肥大症の年齢別の割合としては、
50代 約3割、60代 約6割、70代 約8割、80代 約9割
と年齢が上がるにつれて大きくなりますが、
その全ての方に治療が必要というわけではなく、実際に治療が必要な症状があらわれている方はその中でも約4分の1だそうです。

原因

以前書きましたが、前立腺はまだ解明されていないことも多い器官。
前立腺肥大症の原因も、実ははっきりとわかっておらず、様々な説があります。
ただ、年齢が上がると前立腺肥大症の方が増えること、
前立腺が男性ホルモンに大きく影響されることから、
男性の『加齢現象』の一つとして、
『加齢による男性ホルモンの分泌量の減少』が原因なのではないかと考えられています。
その他にも、遺伝的な体質や、喫煙・飲酒・肥満・運動不足など普段の生活習慣も関係するようです。

症状

前立腺は膀胱の下に尿道を取り囲むように存在するため、
前立腺が肥大すると様々な尿に関する症状があらわれますが、大きく分けて蓄尿症状・排尿症状・排尿後症状の3つの症状に分けられます。

  1. 蓄尿症状
    昼間頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感、尿失禁など
  2. 排尿症状
    尿勢低下、尿線分割、尿線途断、排尿遅延、腹圧排尿、終末滴下など
  3. 排尿後症状
    残尿感、排尿後尿滴下など

(これらの症状をまとめて下部尿路症状といいます)
これらの症状の中でも、前立腺肥大症の患者さんが特に訴えることが多いのは頻尿に関することのようです。

前立腺肥大症の代表的な7つの症状

  1. 残尿感
    (排尿後もまだ尿が残っている感じがする)
  2. 昼間頻尿
    (昼間、2時間たたずにまたトイレに行ってしまう)
  3. 尿線途絶
    (排尿中、尿が途切れる)
  4. 尿意切迫感
    (膀胱に尿が溜まってなくても尿意を感じる)
    切迫性尿失禁
    (我慢できない尿意を急に感じて尿失禁する)
  5. 尿勢低下
    (尿の勢いが弱い)
  6. 腹圧排尿
    (排尿をする時に、おなかに力を入れなければならない)
  7. 夜間頻尿
    (夜中、トイレに何度も起きる)

その他の症状

  • 排尿遅延
    (排尿を始めてから終わるまでに時間がかかる)
  • 排尿後尿滴下
    (排尿後、しばらくして尿がポタポタ落ちる)
  • 尿線分裂
    (尿が飛び散る)
  • 溢流性尿失禁
    (尿が出ずに膀胱に残尿が増え、少しづつもれる)
  • 尿閉
    (尿が出なくなる)

『女性の尿もれ 男性の頻尿をぐんぐん解消する!
監修 奥井識仁』
より引用させて頂きました。

これらの症状があらわれてしまうのには3つの原因が考えられます。

  1. 前立腺が肥大することで尿道が狭くなったり、塞がってしまう。
  2. 前立腺の大きさに関係なく、
    脳(交感神経)からの命令を受け取るα1受容体が前立腺や尿道の筋肉の中で増え、筋肉が必要以上に脳からの命令に反応してしまい、前立腺や尿道が収縮し、尿道が狭くなったり、塞がってしまう。
  3. 排尿筋過活動や排尿筋収縮障害といった膀胱の機能の障害。
    (前立腺とは直接的に関係しませんが、前立腺肥大症に併発して起きている方も多いようです)

また、前立腺肥大症はその症状から3つの病期に分けられます。

  1. 膀胱刺激期
    軽い症状が多い。
    頻尿・尿意切迫感・尿が飛び散ったり、途中で途切れる・排尿に時間がかかるなど、
    排尿に違和感を感じます。
  2. 残尿発生期
    症状が進行し、前立腺が尿道を圧迫。
    残尿感や一時的な尿閉、お腹に力を入れないと排尿が出来なくなる場合も。
  3. 慢性尿閉期
    肥大した前立腺がほぼ尿道を塞いでしまっており、
    かなりお腹に力をいれないと排尿が出来なかったり、
    排尿出来る量が少ないため、膀胱に尿が溜まっているような状態なので、常に尿意を感じるような状態に。
    また、尿が尿管などを逆流し、腎臓に尿が溜まってしまう水腎症を発症してしまうことも。

 

治療法

病院では、
問診や国際前立腺症状スコア(I-PSS)、尿検査、直腸診などを行い、症状を把握した後、患者さんの症状に合わせて生活習慣の改善・アドバイスや薬物治療、必要な場合には手術治療などが行われます。

以上、前立腺肥大症について書きましたが、
私は医療の専門知識を持っているわけではないので、
気になる方や詳しく知りたいという方は、泌尿器科のクリニックを受診しドクターにお話しを聴いてみてくださいね。

国際前立腺症状スコア(I-PSS)

最近1か月の
排尿状態
全くない 5回に1回の割合より少ない 2回に1回の割合より少ない 2回に1回の割合位 2回に1回の割合以上 ほとんど常に
1.排尿後に尿がまだ残っている感じはありましたか? 1 2 3 4 5
2.排尿後2時間以内に、もう一度トイレに行かねばならないことがありましたか? 1 2 3 4 5
3.排尿途中に尿が途切れることがありましたか? 0 1 2 3 4 5
4.排尿を我慢するのが辛いことがありましたか? 0 1 2 3 4 5
5.尿の勢いが弱いことがありましたか? 0 1 2 3 4 5
6.排尿開始時にいきむ必要がありましたか? 0 1 2 3 4 5
7.床に就いてから朝起きるまで普通何回排尿に起きましたか? 0回 1回 2回 3回 4回 5回
0 1 2 3 4 5

当てはまる数字を足していき、一般的に
0~7点⇒比較的軽い症状
8~19点⇒中程度の症状
20~35点以上⇒重症の前立腺肥大症状とされています。
ただし、このスコアはあくまで目安であり、
症状の重さと前立腺の大きさは比例しないことや、問診や検査結果なども併せて診断がされることにご注意ください。

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