アロマテラピー

精油って何?

今回は、アロマテラピーで用いられる精油について書いていきたいと思います。

精油とは植物の芳香成分を抽出したもの。

植物には、特定の場所に植物の香りのもととなる芳香成分がつまった油胞というものが存在します。
例えば、柑橘系。柑橘系は皮に油胞があります。
子どもの時に、みかんの皮を2つに折って、相手の顔に向けて力を加えると、皮から水が飛び出し目つぶしになるという、今考えるとけっこう危険な遊びをしませんでしたか?
あの水がかかった手や、あの遊びをしている最中には、みかんのいい匂いが香っていたと思います。
植物ごとに油胞が存在する場所・大きさ・繊細さが違うため、精油を抽出する際にはその植物が油胞を持つ箇所を集め、その植物に合わせた方法で抽出を行います。

精油の抽出方法

水蒸気蒸留法
釜に原料となる植物をいれ、水蒸気にあて蒸します。

そうすると水蒸気の熱で油胞が壊れて揮発するので、それを冷やして液化させ、精油を採取します。精油の抽出方法として一番多く使われています。

例:ティートリー精油
釜に原料となるティートリーの葉が入れられた状態⇓

揮発した精油が混ざった水蒸気を冷やすと、植物の成分が混ざった水(芳香蒸留水といいます)と精油が抽出されます⇓

例えるなら、水に油が浮いているような状態。
上澄みの精油部分のみを採取したものが「精油」として売れられいるものになります。

圧搾法
原料となる植物をローラーなどで押しつぶし、精油を抽出します。
柑橘系など油胞が大きい植物から精油を抽出する際に多く使われています。
(最近は柑橘系の植物も水蒸気蒸留法で精油を抽出することが多くなりました。圧搾法は、紫外線に当たると肌にシミができやすくなる光毒性を持つ成分も精油に抽出されてしまうのですが、水蒸気蒸留法で精油を抽出すると光毒性成分をほとんど含まずに精油を抽出することができます。ただし、圧搾法で抽出した精油の方が香りを強くしっかりと感じることができます)

揮発性有機溶剤抽出法
熱や力が加わると、精油成分が壊れてしまう植物(ジャスミンやローズなど、花が多い)から精油を抽出する時に使われる方法です。
石油エーテルなどの揮発性有機溶剤とよばれるものに、原料となる植物をつけこむと、溶剤に植物の芳香成分がうつります。
芳香成分がうつった溶剤を、低温で蒸発させると、コンクリートとよばれる半固体状の物質ができ、その物質をエチルアルコールなどで溶かして不純物を取り除いた液体がアブソリュート(花)やレジノイド(花以外)とよばれる精油になります。

超臨界流体抽出法
一番新しく開発された抽出方法です。
二酸化炭素などの液化ガスに圧力を加え、液体と気体の間の超臨界状態にすると、原料となる植物の芳香成分は二酸化炭素にうつります。その状態で圧力を通常に戻し、二酸化炭素が再び気化すると、植物の芳香成分だけが残ります。
この方法ですと、植物の純粋な芳香成分を抽出することが出来ますが、コストが高いのが難点。

精油とは天然の有機化合物の集まり

以上のような方法で抽出される精油ですが、
精油とは、植物が作った天然の化学物質である有機化合物の集まり
精油には数十〜数百もの有機化合物が存在するといわれ、現在研究が進んでいますが、まだ解明されていない有機化合物も多くあります。

植物が作り出した有機化合物は、様々な力があります。
例えば、「モノテルペン炭化水素」。
モノテルペン炭化水素にも様々な種類があるのですが、モノテルペン炭化水素類という大きなグループとして考えると、
このグループの特性として、

  • 優れた殺菌作用
  • うっ滞除去作用
  • 血流促進作用
  • 抗ウイルス作用
  • 鎮痛作用
  • 揮発性が高いため、劣化しやすい

などが挙げられます。
精油が身体に取り込まれると、身体全体にこれらの力を発揮し、影響を与えるのです。

精油を幾つかブレンドすると、
様々な有機化合物を取り込むことができ、
また成分同士が影響しあって、相乗効果が期待できたりもします。

ただ、注意しなければいけないのは、
植物から抽出された精油は、植物のチカラが濃縮された状態であるということ。
精油をそのまま身体に塗ると皮膚に炎症を起こしてしまうなど、私達の身体に害をもたらしてしまいます。(薬が正しく使用しないと、毒になってしまうのと一緒です)
精油には直接に触れず、身体に塗る場合は必ず植物オイルに混ぜ、希釈して使用してください。