アロマテラピー

古代から愛されてきた香り(橘の香り)♪

先日、グリーンフラスコさん主催の「甦る古代柑橘『橘』の世界」という講座に参加してきました。

www.greenflask.com

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橘とは日本原産の柑橘

諸説ありますが、日本原産の柑橘は「橘」と「シークワーサー」のみなんだそうです。
橘の木は、昔から長寿や永遠性を象徴する神聖な木として考えられてきました。
その歴史はかなり古く、古事記日本書紀には
『垂仁天皇の御代、田道間守(たじまもり)を常世の国に遣わして、非時香果(ときじくのかぐのこのみ)という不老長寿の薬を探させ、田道間守が探し持ち帰った非時香果こそ「橘」である』という記述が残っています。
また、「右近の橘・左近の桜」という言葉があるように、平安時代、紫宸殿には橘と桜の木が植えられていました。それは桜の繁栄と橘の永遠性を願って植えられたものだとか。
ひな祭りの飾りも、そこから桜と橘が飾られています。

私が橘に興味を持ったのは、「和精油」について調べている中で。

「和精油」とは、日本で育った植物から抽出した精油のこと。
「ヒノキ」「ハッカ」「ユズ」「ヒバ」など私達に馴染みのある香りが多く、「子どもの時、どこかで嗅いだ香り」など懐かしさを感じるものも多くあります。
アロマテラピーで初めて精油の香りを感じる方の中には、嗅ぎ慣れない香りに抵抗を覚える方もいますが、和精油の香りは「思い出の香り」であることも多く、すんなりと香りが入ってくるのも特徴。
海外産の精油も素晴らしいですが、同じ風土で育ったモノ同士、体や心にも馴染みやすく、またいい効果も受け入れやすいんじゃないかなと個人的に思っています(*´∀`*)

そういうわけで、和精油が私は大好き♪
和精油を探す中で見つけたのが、グリーンフラスコさんが販売する「戸田香果橘(へだたちばな)精油」でした。

『戸田香果橘(へだたちばな)』

気の巡りや血液循環を高め前向きな心を取り戻し血行不良を改善します。
不安や抑うつに芳香浴や吸入、アロマバスやオイルマッサージで活用します。
また脳機能を活性化するため記憶力や集中力の低下に芳香浴や吸入で活用します。

橘は日本原産の柑橘であり古代は非時香果(ときじくのかぐのこのみ)と呼ばれていました。
時代は異なるものの空海と縁が深い垂仁天皇が田道間守(たじまもり)に常世の国へ探しに行かせたのが不老長寿の薬である橘です。
橘は気を巡らせる力が強く心を照らし体を温めます。
富士山は橘香る香久山として知られますがみかんを乗せた鏡餅は富士山と太陽(橘)の象徴なのです。

(グリーンフラスコさんHPより引用)

昔から日本人が大切にしてきたこの植物香りは、
みかんに似た甘く優しい、元気のでる香り。
今回、この橘に関する講和や水蒸気蒸留の様子が見れるということで、前日からウキウキしながら出かけました♪
アロマテラピーに興味のある方、橘という植物に興味のある方など、参加者の参加理由は様々ではありましたが、皆さんワクワクした様子。

橘の果皮の水蒸気蒸留

橘の精油は、橘の果皮を水蒸気蒸留することで抽出されます。

その様子がこちら↓

水蒸気蒸留法についてはコチラをご覧ください⇓

精油って何?今回は、アロマテラピーで用いられる精油について書いていきたいと思います。 精油とは植物の芳香成分を抽出したもの。 植物には、特定の場...

蒸留を待つ間に、「橘の精油に含まれる成分」や「橘という植物を古代の人々はどのように感じていたか」のお話しを伺います。

橘の精油に含まれる成分

橘の精油に含まれる成分で最も多いのは、D-リモネンという柑橘類に多く含まれる成分。
D-リモネンは、体内に吸収されると脳内にα波が出現するというリラックス効果と、交感神経を活性化し、覚醒させるというリフレッシュ効果の両方を併せ持ちます。
(他にも血行促進食欲増進肝臓や腎臓を強壮する作用も期待出来たりします)
D-リモネンが青果時には56.4%、成熟果時には67.5%含まれるそうです。

、、、そうなのです!
植物の生長によっても成分は変わっていくのです。
諸説ありますが、精油は、動くことの出来ない植物が自分の身を守ったり、鳥や虫を呼び寄せて繁殖に役立てたりするために作り出したもの。
例えば、D-リモネンにある食欲増進作用。
実が熟し、繁殖に適した時期になると、実を食べてもらうために、D-リモネンという食欲をそそる成分を多く作りその香りで、鳥や虫を呼び寄せるとも考えられるそうです。

他に含まれる成分に関しても、青果時と成熟果時には違いがあったり。
リラックスで有名なラベンダー精油にも含まれるリナロールという副交感神経を活性化する成分。こちらは、成熟果時の実に4.5%含まれるのに対し、同時期の葉には29.1%も含まれています。
植物のどこの部位から精油を抽出するかにもよって、その精油に期待できる効果も変わるのです。
ついつい、この精油にはこういう成分が含まれるからこういうことが期待出来て、とデータとして考えがちになってしまうのですが、精油というものは本来植物からの恵みであったと思いだすことの出来る内容でした。

橘の木という植物を、古代の人々はどのように感じていたのか

「橘」について、古代の人々がこの植物をどのように感じていたかについてのお話しでは、一番印象に残ったことは古代の人々の「香りの感性」

古語辞典によると、「にほひ」の意味は
①はなやかなこと。色の美しくはえること。
②つやのある美しさ。きわだった美しさ。
③かおり。香気。
④風情。気品。
とのこと。

「におい」には視覚と嗅覚の2つの意味があり、古代の人々は、視覚と嗅覚を別々の感覚としてではなく、分けることのできない感覚として感じる感性を持っていたのではないかと考えられるそうです。

たとえば、咲く花から漂い出る芳香は、花の「にほひ」として、
鮮やかに照り映える色彩とともに一体のもの。
として把握された。
(テキストより引用)

このことについて、とても納得。
先日の梅酒作り。美しい黄色の梅の実の色に綺麗な色だなぁと感じつつ、その梅の実から香るプラムのような甘い香りに更に感動。色彩的な美しさと香りが合わさった体験だったと思います。
いい香りがすると周りを見まわしてみたら、満開の花から香りが漂ってきていたっていう体験は誰もが一度は感じたことがありますよね♪

橘は冬も枯れることのない常緑の木であることから、永遠性や不老長寿の象徴である神聖な木として考えられてきましたが、時代が下るにつれて、橘の花の香りがクローズアップされるようになってきました。

万葉集には、橘に関する歌が約70首もあるそうなのですが、その中には
「かぐわしき 花橘を玉に貫き 贈らむ妹は みつれてもあるか」
という歌や、全文はのせられませんが、
「・・・置きて枯らしみ あゆる実は 玉に貫きつつ 手に巻きて・・・」
という長歌があります。
玉に貫きとは糸を通して輪っかにしたもの。腕輪にしたものだそう。
先生が橘の花のつぼみを腕輪にしたものの写真や、実を腕輪にしたものを実際に見せてくださり、古代の人々はこうやって香りを楽しみ、身に纏っていたのかなぁと思うと、とても興味深かったです。
(乾燥させた橘の実を腕輪にしたもの⇓)

お話しを聴いている間に、橘の水蒸気蒸留が完了。
精油は少ししかとれませんでしたが、出来立ての香りを感じさせてもらいました♪
精油のフレッシュな香りをイメージしていましたが、出来立ての精油の香りはスモーキーさを感じさせるようなかすかな香り(量が少なかったこともありますが)。

蒸留したての芳香蒸留水に、戸田香果橘精油と無水エタノールを加えてみんなで橘の化粧水作り。いつも大事にしすぎて、なかなか使えなかったりするので、今回はどんどん使っていかないと(笑)
ニキビや吹き出物、肌荒れ対策や、育毛効果も期待できるためヘアローションとしても使用できるとのことでした♪

化粧水作りの後は、橘の果皮の入ったお茶と果皮のジャムを頂きながら、「橘の地域おこし」についての座談会。

頂いたお茶は、戸田香果橘精油を作った戸田橘香房さんが作った「たちばな香るお茶」。
パッケージが可愛い♪

「橘の地域おこし」で有名な所は3か所あるそうです。
①三重県鳥羽市
鳥羽市の離島・答志島に橘の原木があることから、昭和44年に橘を市の木に制定。

鳥羽商工会議所 非時香果 やまとたちばな

余談ではありますが、「女性の願いを必ず一つは叶えてくれる」ことで有名な鳥羽市の「石神神社」さん。こちらは「神明神社」の末社なのですが、神明神社の境内には橘の木が植えられていました⇓


奥には橘の実も♪

②静岡県沼津市戸田
日本における北限の貴重な橘自生地があるとのこと。


先生が見せてくださったチラシを写真撮らせて頂きました。
こんな素敵なイベントがあるならば、是非参加してみたかった(´;Д;`)

③奈良県 なら橘プロジェクト
平城京と飛鳥も橘寺を結ぶ古道が、古来橘街道とよばれてきたことから、沿道に橘を植樹してその復元を目指しているとのこと。
こちら大和橘オーナーズクラブというものがあり、1口3000円から参加出来ます。
私も昨年から1口ではありますが、参加させて頂きました(笑)
今年送られてきた会報誌と記念品の大和橘の石鹸♪
(記念品は口数によって変わるようです)
イベントを様々行っているようなのですが、遠く参加出来ないのが残念。

(今は『なら橘プロジェクト』さんになったようです?)

他にも講座の中では先生お手製の橘のアクセサリーやオイル、シャンプーなども見せて頂いたり♪


先生は本当に「橘」がお好きな感じ(*´Д`)
講座は第3回もあるようなので是非参加したいーーーー♪

和精油は「懐かしさを感じる香り」でもありますが、日本人の歴史と寄り添う香りでもあります。サロンでも和精油をいつかは使いたいなと思っているのですが、
精油の抽出の歴史は海外の方が長いため、抽出方法がきちんと確立されていたり、農薬への配慮や植物育成にこだわりがあったりと、お客様に安全にたくさんの植物のチカラを感じてもらうには、と考えた時に迷ってしまうのが現状。
ただ、和精油を作っている方でもこだわりをしっかりと持って作っている方が増えてきているので、出来れば生産者さんに直接お話しを聴いたり、抽出の現場を見学させて頂いたりして、自分の目で見て確認をしたうえでお客様に使うことの出来る和精油を取り入れていけたらなぁと思っています(。・ω・)ゞ

追伸。
第3回にも参加することが出来ました♪

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よろしければご覧ください♪